セールスフォース($CRM)の会社概要
Salesforceは、企業のCRMツールを販売する世界最大手の会社です。CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、顧客との関係を管理するITソフトウェアツールを販売しています。市場調査会社IDCによると、業界でNo.1のシェア(18%)を有しており、売り上げ規模も年々成長しています。従業員数も2013年は9000人ほどでしたが、最新では52000人の従業員を抱えています。
(IDC↓)

2019年に、データを可視化するソフトウェアを販売するTableau(タブロー)を1.7兆円で買収したことは記憶に新しいですが、その他、中小合わせて60社以上を買収して急成長を遂げていることが特徴です。
決算サマリー
2020年7月期 | 2019年7月期 | 変化率 | |
売上 | $5,151M | $3,997M | 29% |
営業利益 | $178M | $58M | 207% |
営業利益率 | 3.5% | 1.5% | 138% |
純利益 | $2,625M | $91M | 2785% |
EPS | 1.44 | 0.11 | 1209% |
営業利益、営業利益率推移

EPS(一株当たり利益)推移

最新バランスシート
他のクラウド系の企業と比べると固定資産が多く、その中身の7割ほどは、過去の買収によるGoodwill(のれん)です。

配当金の推移
CEO、CFO コメント
今期はセールスフォースにとって例外的な四半期だった。会社もお客様も、我々の想定していたガイダンスよりも良い形で危機を乗り切ることができた。
売上高は51.5億ドルで、前年同期比29%の伸びを示した。Q2は、同社が初めて四半期決算で売上50億ドルを突破した。
クラウド別の収益実績は、引き続きポートフォリオ全体で強さを示した。
セールスクラウドは13%の成長。サービス・クラウドは20%成長。プラットフォームおよびその他は66%増で、そのうちTableauが41ポイント、マーケティングおよびコマースが21%増となっている。
米州は28%の成長、Tableauはこの成長の10ポイントに貢献した。EMEAは38%の成長で、Tableauは13ポイントの成長に貢献、アジアは23%の成長を達成した。
RPO(remaining performance obligation)は前年同期比 26%増の約 152 億ドルとなった。
(※サブスクリプションは直近の契約がすぐに売上に反映されないため、向こう12か月の売上を成長指標に掲げている)
当四半期の業績向上は、収益の増加に加えて、特に nCino の IPO による時価評価額の調整により、GAAP EPS は約 0.55 ドル、Non GAAP EPS は約 0.58 ドルの利益が上乗せとなった。
Q3の売上は52.4億ドルから52.5億ドルで、約16%の成長を見込んでいる。注意点として、Q3はTableauが決算に組み込まれて5四半期目であるため、前年同期比の成長率は正常化される。
今期の売上に最も貢献したのは、AT&T。
AT&T は素晴らしい会社で、通信業界のリーダーであり、彼らは巨大なビジョンを持っている。そのビジョンとは、店舗であれ、Eコマースであれ、アプリであれ、メッセージであれ、すべての顧客のタッチポイントで、彼らは単一の真実の情報源を持ちたいと思っていた。
これは2月に契約したものだ。今期は数百の店舗と最初の35,000人のユーザーに展開した。これほどスピードを上げて取り組んだことはこれまでにないくらい、顧客に成功体験を早く届ける必要があったし、顧客のために行動した。
AT&Tのために成功を収めることができて、とても興奮している。また、当四半期にはPayPalや、Work.comのディールも勝ち取ることができた。その他、TWC や VF Corp、Veterans administrationやロードアイランド州の公共部門でのディール獲得など、他にも多くの顧客や成功事例を見ることができた。海外では、Banco Bradescoとの契約も大きかった。
私たちは素晴らしいコアバリューを持っているだけでなく、素晴らしいコア製品を持っている。この四半期にこのような大成功を収めたすべての方々、お客様、従業員、パートナー、すべての主要な株主の皆様に心からの感謝の意を表したい。
主な質疑応答
ウェルズファーゴ アナリスト
「特にサービス・クラウドについて掘り下げて質問したい。明らかに個人向けクラウドの中で最大のクラウドとなったが、その差は拡大し続けている。サービス・クラウドに見られるトレンドと、今後の成長の持続性について教えて欲しい。」
CEO
「今ではセールスクラウドよりも大きくなっている。前年比の収益成長を含めたあらゆる面で成長を続けており、新しいイノベーションを見た。
基本的には、顧客は顧客のための単一の情報源である「Customer 360」を構築するために私たちのところ来る。顧客は前例のない変化に直面していても、ビジネスを変革することができる。つまりデジタル化が可能になり、販売とサービスを統合することができる。これこそが真実の単一の情報源であり、「Customer 360」の重要な要素だ。私は、これがその勢いの源であると考えていて、PayPalのような案件においても、価値提案をすることができた。」
Bank of America Merrill Lynch -アナリスト
「オーガニックな成長率、マージンの拡大などを見て、RPOも含めた主要な指標を見ることができて、本当に感動した。質問ですが、Tableau(タブロー)について質問したい。ソフトウェア業界の中でも、おそらくセールスフォースにとって最もインパクトのある買収になるかもしれないと、過去に深い発言をしていた。TableauがCustomer 360と業界のデジタルトランスフォーメーションのために何ができるのか、どのような考えを持っているだろうか?」
CEO
「TableauがSalesforceの一部になったことで、Tableauが当社のCustomer 360の一部になったことを理解したうえで、Tableauがもたらす多くの新しいイノベーションや刺激的なものが生まれている。そのことを考慮して、当社との取引を決断した多くの企業がいる。PwCのボブモリッツCEOと話をしたときにも言っていた。
Tableauが素晴らしいと思ったことの一つは、同社の提供するサービスと特定のライセンス契約期間において、1年以上の期間を希望する顧客とが多くいたことだ。顧客が複数年ライセンス契約を行うことが多く、売上利益の面でさらに助けになっている。人々が製品を気に入ってくれて、1年ではなくまた、数年後に投資したいと思ってくれていることが大きいと思う。」
総括、まとめ
前回決算では、売上が30%増と力強さを見せたものの、先々の売上見通しに弱気な数字が出たために株価は4%程下落しました。今期は、売上、EPSともに大きな成長となり、コンセンサスを大幅に上回ったことで、株価は決算終了後のアフター市場で12%上昇しました。
24日、ダウの構成銘柄を変更し、メジャー石油資本のエクソン・モービルに代わりセールスフォースを採用すると発表し、その影響も株価には表れています。
最近では、多くの企業が好決算でも株価が横ばい、もしくは下落していたので、今回のセールスフォースの好決算での株価急上昇は、ハイテクグロース株の上昇をけん引する要因となるかもしれません。昨今だとスクエアの好決算以来の、決算後の株価上昇だったのではと思います。
タブローが決算に組み込まれて来期は5期目なので、対前年同期比におけるタブロー効果は正常化するので、注意です。この直線的な右肩上がりがどうなるのか、楽しみですね。
今後も引き続き、モニターしていきたいと思います。
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