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【20/8月期】 アドビ($ADBE)決算発表。CEOコメント、質疑応答まとめ

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Adobe($ADBE)の会社概要

アドビシステムズは、コンピューターのソフトウェアを提供する会社です。本社はシリコンバレーのサンノゼ。Adobe Flash、Premiere Pro、Adobe Illustrator, Acrobat Reader, Portable Document Format(PDF), Photoshopなどで有名な会社ですね。従業員は全世界で約21000人ほど。2012年に売り切りモデルからサブスクリプションモデルへ転換し、徐々に売上、収益性が改善し、今も安定して成長しています。

決算直前まで株価は上昇していましたが、決算後に株価は下落しました。その決算をCEOのコメントを中心に整理していきたいと思います。

Adobe($ADBE)の決算内容

〇EPS $2.57(予想$2.41)
〇売上高 $3.23B(予想$3.16B)
△ガイダンス $3.35B(予想$3.36B)

決算サマリー

 2020年8月期2019年8月期変化率
売上$3,225M$2,834M14%
営業利益$1,069M$854M25%
営業利益率33.1%30.1%10%
純利益$955M$793M20%
EPS1.991.6124%

営業利益、営業利益率推移

セグメント別売上比較

サブスクリプションの売上が伸び、売り切り製品は減少。ほぼサブスクリプションへのビジネスの移行が完結している状況ですね。この売上に対して、セールスマーケティングに$892M、研究開発費に566Mを投じて、営業利益$1069Mと非常に利益率が高いビジネス形態を取っています。

EPS(一株当たり利益)推移

最新バランスシート

バランスシートも強固な状態を維持しています。固定資産の大部分は、過去に買収した会社の、のれん($10000Mが)占めています。

配当金の推移

配当金は出しておりません。

Shantanu Narayen CEO コメント

現在進行中のパンデミックにより、世界中のいたるところで厳しい環境が続いている。人々はバーチャルでコミュニケーションをとり、学び、ビジネスを行うための新しい方法を模索している。コンテンツの作成と消費が爆発的に増加しているため、視覚的なつながりがより重要になってきている。学生は教室での学習ではなく、リモート環境での学習に適応している。メディアやエンターテイメントから、製薬、小売、自動車、金融サービスに至るまで、あらゆる産業が、顧客との関わりや事業の継続性を確保するために、一夜にしてデジタルオペレーションへの移行を余儀なくされている。電子ワークフローと署名は、ビジネス取引を効率的に完了させる唯一の方法だ。世界は誰もが予想できなかったような形で変化している。

この現実は、アドビに新たな追い風を吹き込んでいる。デジタルエクスペリエンスを通じて世界を変えるというアドビの使命は、これまで以上に重要なものとなっている。すべての人のために創造性を解き放ち、ドキュメントの生産性を加速し、デジタルビジネスを強化するというアドビの戦略は、これまで以上に重要であり、あらゆる地域や視聴者に向けてアドビの好調な業績を牽引している。

◆Q3業績
アドビは、Q3に優れた業績を達成した。Creative Cloud、Document Cloud、Experience Cloudの各部門で力強かった。Q3の売上は32.3億ドルで、前年同期比14%の成長を達成。Q3のGAAPベースのEPSは1.97ドルで、前年同期比22%増、Non-GAAPベースの1株当たり利益は2.57ドルで、前年同期比25%増となった。

Q3終了後のRPOは前年同期比18%増の103.4億ドルとなり、前四半期比で4%増となった。

RPO(remaining performance obligation)
(※サブスクリプションは直近の契約がすぐに売上に反映されないため、向こう12か月の売上を成長指標に掲げている)

デジタルメディア事業では、Q3にクリエイティブ・クラウドとドキュメント・クラウドの両方で売上が大幅に伸び、前年同期比19%増の23.4億ドルの収益を達成した。デジタルメディアのARR(Annualized Recurring Revenue:年間換算売上)は4.58億ドルで、Q3以降のデジタルメディアのARR合計は96.3億ドルに成長した。

Q3のCreative Cloudの業績は傑出していた。Creative Cloudの新規ARRは3.6億ドル、売上は19.6億万ドルだった。Q3のCreative Cloudの業績を牽引したのは、Adobe.comへの記録的なトラフィックだった。 Creative Cloudのシングルアプリとあらゆる地域での包括的なサービスが強化されたこと、クリエイティブなモバイルアプリが成長し、個別の売上とCreative Cloudサービスが連動したこと、個人、チーム、企業の間でのエンゲージメントと製品の利用が増加したことによる契約保持の向上、Photoshop、Lightroom、Premiere Proによるイメージングとビデオのカテゴリーでの優れたパフォーマンス、学生、教育者、教育機関などの教育分野での好調なパフォーマンスなどが、Q3のCreative Cloudのパフォーマンスを牽引した。

◆Q3のドキュメント・クラウドの売上高は3.75億ドルと過去最高を記録。第3四半期のハイライトは、Adobe Readerファネルからの新規ARRの大幅な伸び、Acrobat Webの増加、Acrobat Mobileのインストール数33%増、Adobe Signの大きな勢いが起因。Citi、PwC、Pepsi、HSBC、Merkle、J-Powerなどの主要顧客の獲得した。ドキュメントの作成、共有、署名、書き出し、スキャンに適したプラットフォームを持っていると確信している。チャネルでのSignの牽引力は大きいと思います。

◆Q4ガイダンス
Q4については、現在のマクロ経済状況、典型的な年末商戦の好調さ、Advertising Cloud事業に関連した戦略的転換を考慮した上で、次のような目標を掲げている。

売上高→$3.35B
Non-GAAP EPS→約$2.64

Q4は好調に推移し、アドビにとって今年も過去最高の売上と利益を記録した1年の締めくくりとなると予想している。

◆アドビの使命
私たちの目標は、学生からソーシャルメディアのインフルエンサー、ビジネスコミュニケーター、クリエイティブの専門家まで、すべてのクリエイターにストーリーを創造し、増幅する能力を与えることだ。スマホ、タブレット、デスクトップでの制作と消費は爆発的に拡大している。ウェブコンテンツ、モバイルアプリケーションの作成、イメージング、ビデオ、アニメーション、スクリーンデザイン、AR、3Dは、デジタルでストーリーを伝えるという、ビジネス変革の新時代を迎えている。

◆ADBE MAXの開催
世界最大のクリエイティビティ・カンファレンスであるAdobe MAXは、10月にバーチャルで開催される。Creative Cloudの新製品やサービスを紹介するだけでなく、俳優のキアヌリーブス氏、写真家のアニーリーボヴィッツ氏、受賞歴のある映画監督のエヴァデュヴァーネ氏などの素晴らしいクリエイターが登場し、56時間に及ぶ世界規模のコンテンツを提供する予定だ。

◆新規主要顧客
Eli Lilly、Truist、Nike、Lowe’s、Shell、Lloyds、U.S. Department of Commerce などの主要顧客の獲得。 また、IBM および Red Hat とのパートナーシップにより、ハイブリッド・クラウド環境でのエクスペリエンス・クラウドの展開を可能にし、規制された業界の企業のリアルタイム・データ・セキュリティをさらに強化した。

◆ガートナー社の評価
ガートナー社のマジック・クアドラントのCRMリードマネジメント部門では、アドビがリーダーとなり、「実行能力」と「ビジョンの完全性」で最高のスコアを獲得した。

◆最後に
アドビの記録的な業績は、世界中の従業員の継続的な貢献と揺るぎない献身なくしては実現できなかった。従業員は、リモートワーク環境に迅速に移行することで、驚異的な回復力を発揮してくれた。私はそれを誇りに思い、感謝している。

偉大な企業は、困難な時代をいかに乗り切るかによって定義される。私たちの強い企業文化、イノベーションへの集中、優れた顧客とパートナー、そして常に地域社会のために正しいことをすることが、私たちとその成功の原動力となっている。私たちは、目の前にある大きなチャンスに興奮しており、2020年以降も力強い勢いを維持できることを楽しみにしている。

主な質疑応答

アナリスト
「来年に向けて、特にDXビジネスで最も期待している目標は何でしょうか?」

Shantanu Narayen CEO
「1つ目は製品面で、Adobe Experience Platformを採用している多くのお客様にご利用いただき、CDPやリアルタイム性、Adobe Senseiを活用したインテリジェントなサービスなど、素晴らしい四半期となった。製品とイノベーションの面では、すべての製品を統合するためのプラットフォームがあることを確認することで、多くの付加価値を得ることができた。これは他の誰よりも完全に差別化できる分野であり続けると思う。他社が統一されたプロファイルを提供することについて話しているのに対し、ご存じのように、Adobe Experience Platformにはすでに何百億ものプロファイルが存在している。

2つ目の領域は、統合された組織で、顧客と顧客中心主義に焦点を当て、パートナーと何をしているかということだと思う。市場での差別化だけでなく、私たちのビジョンを積極的に広めていくことに注力している。在宅勤務の利点としては、顧客との関わり方が非常に良くなるということだ。

3つ目は、文化。アドビの文化は常にユニークな点で、人材と採用に重点を置いており、大きなチャンスがあるところで、最高の人材を確保している。」

アナリスト
「営業利益率は過去最高を更新した。Q4のEPSガイダンスにはどのような内容が盛り込まれているか教えて欲しい」

Shantanu Narayen CEO
「Q3に入り、最優先事項にリソースを集中させることを考えた。その活動を終えて、業績が順調に推移していることを実感したところで、少し保守的になっているのではないかと思い、採用活動を開始した。Q4と21年度に向けて採用を拡大していく。研究開発への投資を行っており、Q4と21年度の採用にもそれが表れてくると思う。

これまでの経費節減の中には、出張や施設、対面イベントなどの一時的な経費節減もあった。今後、安全な時期にオフィスを再開することで変化していくと考えている。そのため、Q3にこれらの分野での支出が減少していたことが、今後も持続するとは考えていない。そのため、第3四半期の営業利益率のパフォーマンスを見る際には、この点を考慮する必要があると思う。」

総括、まとめ

アドビは、いまやデジタルエクスペリエンス会社だと謳っていますね。デジタル体験会社。日本語にするとちょっとダサいですが、ソフトウェア会社の成長力の強さ、またクラウド、サブスクリプションへの移行による安定成長収益の獲得もすばらしいです。

成長力だけの観点で見ると他のSaaS企業と比べると少し劣りますが、営業利益率30%以上を安定してたたき出しているなかで成長をしている点は驚異的です。小型グロース株への投資でハイリターンを目指す中で、ADBEのような安定感のある企業への分散投資は魅力的かと思っています。

バリュエーションはかなり高いです。PERは60倍ほど、PSRは最新売上x4ベースで24倍と割高感はありますね。

ドキュメントクラウド一部の、Adobe Signは気になります。ドキュメントの作成、共有、サイン、書き出し、スキャンまで一社のサービスで完結するので、すでにアドビのサービスを導入している企業へのクロスセルなど、より付加価値の高いサービスへの誘導が期待できるのではと思っています。DocuSignも注目しているので、このあたりの動向はモニターしていきます。

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