American Express($AXP)の会社概要
アメリカンエクスプレスは、クレジットカード会社です。クレジットカードを発行し、そのカード年会費、加盟店が決済金額に応じて支払う手数料、クレジットキャッシングやローンなどの利息収入で儲けています。決済のシステムから、自らがクレジットカードを発行して、金融サービスまで包括的にサービスを行っています。
VISAやMasterカードは、決済システムを提供するだけで、実際のカードの発行からマーケティングはChaseやCITI銀行などが行います。プラットフォームを提供しているだけなので、自社のコストはかからずに収益性に優れるという特徴があります。
広く浅く、手数料でマージンを取るビジネスモデルのVISA,Masterに対して、金融サービスまで、すべてを自社で包括的に行うのがAMEX。このようなコロナ影響時に、お客さんが支払い不能となった場合のリスクが伴うのがAMEX,そのリスクを銀行が取るのがVISA,MASTERのビジネスです。このような違いがあります。
営業利益率は当然VISA, MASTERの方が良いです。
American Express($AXP)の決算内容
決算サマリー
2020年6月期 | 2019年6月期 | 変化率 | |
売上 | $8,217M | $11,729M | -30% |
営業利益 | $622M | $2,219M | -72% |
営業利益率 | 7.6% | 18.9% | -60% |
純利益 | $238M | $1,729M | -86% |
EPS | 0.29 | 2.07 | -86% |
売上、営業利益、営業利益率推移
パンデミックが直に影響した決算となりました。顧客の支出減により、カード手数料収入が4割減になったことが響いています。詳細は後述。

EPS(一株当たり利益推移)

配当金、配当利回りの推移

カテゴリ別売上
一番のメインであるクレジットカード手数料が40%ダウン。コロナの影響でカード利用率が低下したことがメインの要因です。

CEO コメント
会社全体の実績としては、今期は明らかにパンデミックの影響を受ける形となった。より粒度の細かい点まで本日は説明し、全体像を理解していただければと考えている。前回の決算発表の時は全世界の経済が急落している過程だったため、この下落がどうなるのか知る由も無かった。
全体のカード支出額は、4月以降徐々に改善してきているが、四半期全体として40%減少した。7月においては、-20%減となっている。旅行娯楽関係以外の支出の方が速いスピードで回復している。
レストランも、飛行機やホテルと比べると回復が早い。人々は、飛行機を使わず、車を使って異なった土地へ移動するケースが非常に増えている。そこでカード支出が発生している。
顧客対応経費は、カード支出の減少したこと受けて同様に下がった。マーケティング費用も大幅に削減した。特に新規カード会員獲得に対してのマーケティング費用を抑え、トータル16%のコスト削減を行った。これは前々から言っているように、我々が有する柔軟性から可能となっている。
自己資本比率も向上し、さらに現金保有率も高めることで、このようなリスク局面においても柔軟性のあるバランスシートを維持できている。このおかげで、Q3においても配当金は維持できる見込みである。
マリオットホテルやブリティッシュエアウェイズとのクレジットカードパートナーシップの更新を締結した。
主な質疑応答
KBW アナリスト
「前回決算の時よりは、よりクリアーな見通しが見れてきていると思うが、旅行・娯楽関係について、市場規模についてはどのような変化を見ているか?それに対してどのような対応を長期的に取っていくのかを教えて欲しい。」
Steve Squeri CEO
「まず第一に、これまでの収入を見ても、70%は旅行・娯楽関係以外の支出から構成されている。全体の9%がコーポレートカードのビジネスだが、そこでは55-60%がトラベル関係の支出だ。中小企業のビジネスにおいては、この期間特に急回復を見ている。ここでは80%がトラベル以外のビジネスで戻りが早かった。
先週からの航空関連の決算でもアナウンスされているように、企業の出張においては、より時間をかけて最終的に昨年レベルまで戻ると考えている。まずはコンシューマーの旅行で安全を感じられれば、信じられない需要の戻りがあると思う、そこでAMEXブランドのカードにおいて、より売上増が見込めるだろう。
DeltaやHiltonなどのカードは、ストアカードではないので、より多目的な支出に使われるため、パフォーマンスは良かった。」
UBA アナリスト
「AMEXブランドについてのリニューアルについてアナウンスがあったが、これは過去と比べてどのような影響があると思うか?」
Steve Squeri CEO
「ブリティッシュ航空については2028年までの契約となる。マリオットについては、スターウッドグループの買収により、AMEXとのパートナーが始まった。デルタやヒルトンについても、長期的な関係性を今後も築いていく。」
総括、まとめ
アメックスの決算、非常に厳しい数字でした。株価も決算後‐2.7%とそれを表しています。特にクレジットカードの支出によってその手数料で売上を上げるビジネスモデルに対して、今回のパンデミックが直撃しました。コスト削減には取り組んでいるものの、売上の減を補えるほどではありませんでした。ビジネスクレジットカードでは旅行支出が激減、旅行以外の支出が戻ってきているものの、まだまだ難しい状況です。
旅行関連の戻りに期待が高まっていますが、ワクチンができない以上は安全を感じて自由に飛行機で移動はできないのではと思います。アナリストへの回答でも、ワクチン頼みで楽観的すぎるのでは?というコメントもありました。
今週はVISAやMasterの決算がありますが、同様の手数料ビジネスにおいては影響は不可避だと思います。
私もアメックスにはアメリカ在住時代はお世話になったので、今後の復活に期待しています。
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